志学館吹奏楽部のWorldはこのように受け継がれる

『急がば回れ!』とはこのようなことなのかも知れない。

吹奏楽部と言えば気長にロングトーンに明け暮れ、個々がスケールやリップスラーと黙々と練習をこなす。

暑い日も寒い日も屋外でも行う。

なかなか響く音が出なく悩みながら毎日を悪戦苦闘するわけだ。

そして、コンクールまで気が遠くなる細かな作業が加わってくる。

音程やバランス音色、アンサンブル、基本的な音を並べ縦の線を合わせる作業だけでも気が遠くなるわけだ。

いくら時間があっても足りないと思えてくる。

 

ばりばり中学校時代に組織的に練習してきた生徒は本校の練習スタイルは物足りなくも思えるのではないだろうか…

 

本校の吹奏楽部は全員が全員、当部活動を入学前から志し、入部してくるわけではない。

過去には結構いたが、今では数少なくなってきた。私もめっきりスカウティングには行かなくなった。

 

どんな生徒でも音楽が好きで人と共に協働する事が大切だと思える子が入部してくれればそれでいい。

その子達をどのように仲間として必要なことを伝え成長させるかがとても大切なことであろう。

 

よく志学館が演奏すると、多の団体の指導者が『志学館にはWorldがあるんだよな~、こんな雰囲気をどうやって作り出すんだろう…うちにはないんだよな~こんな雰囲気は~』なんてよく言われる。

 

演奏会に直前になって『笑って!』とか『もっと笑顔で!』とか伝えただけではそう簡単にはいかないと思う。

 

日々の取り組みの中で、全てにその育成が組み込まれていなければ…。全てに意味を持たせること。

奉仕作業に始まりその意味を伝える。

呼吸法やウェートトレーニング、声だしを通じて活気と応援するチーム力を高める。勿論体力が今後一番となろう。

そして、発声練習ソルフェージュ、合唱活動まで、今は1年生に意味を説明しながらなので午前中いっぱい時間を費やす。

これには1年生も驚きを隠せないようである。

 

ただでさえ練習時間が少ない学校なのでこれではなかなか上手くならないのかも知れない。

確かになかなか上手くはなっていないな~笑

そこを我慢、我慢して優先すべき事ととらえている。

 

進行は全てが各リーダーに任せる。

たどたどしさもあるが、さすがに3年生はしっかりと的を射て的確に手短に伝えることが出来る。

全てを生徒中心にすることは指導者として勇気がいることだし、信頼するしか他ない。

そして、気づいたときには全体をストップさせて全体に指導者が気づいたことを伝える。

 

全体的に部活動としては、いわゆる、『ゆるーい感じ』なのかも知れない。

本来部活動のあるべき姿はもっともっと厳しい雰囲気から自己を高めることを学ぶのかも知れないが、厳しさは相手に対してと言うより自分に対して育つことが望ましいと私は思う。

自分にストイックで厳しく厳しく追及し、考え悩み成長してきた生徒は乗り越えた経験から言葉で説明が出来るようにもなり、なによりも優しくなれるのではないだろうか。

 

1年生は今、慣れない新生活で多いに不安や戸惑い体力的にも消耗しているはずである。遠慮なく先輩方の愛情を受け、のびのびと成長して欲しいと願う。

そしてうけた愛情は次の後輩達に返していって欲しい。

 

 

こんな日々の取り組みを通じ長い時間をかけいわゆる『志学館のWorld』がつくられ『Wind-Windsのスピリッツ』が継承されていけば良いんだと思う。