本来の吹奏楽部と言えば大人数で広い会場で優れた演奏を披露すると言うことをイメージする。
昨今はYoutubeで視聴回数が上がるからといって、吹奏楽FanならぬYoutuberが名門校の活動を追いUPするといった現象が起こっている。
私も時折気になる活動はつい見てしまう。
超名門校の追っかけは、本番のみならずその練習風景までや野球応援の反対側スタンドから撮影をしてUPするという、少しやり過ぎ感は否めない。
本校の活動の原点をご覧頂きたい。
草の根を大切に、一人一人の心に行き届く活動を地道に目立たず行うこと。
勿論演奏が上手であることにそれは超したことがないと思うが、そうでない団体はそれなりに意味のある活動をしなければならない。
毎年近くにある特養老人ホームを慰問している。そこに伺うまでに生徒達は100を超えるパンフレットを作成する。
折り紙や切り絵、そして一人一人が直筆でお手紙を添える。子供じみているかも知れないが実に温かみがあり温もりを感じる作品となる。
オープニングは長寿にあやかり笑点のメインテーマを演奏し、その後はおじいちゃんおばあちゃんが好きそうな昭和の名曲が並ぶ。
今までには美空ひばりさんや坂本冬美さん氷川きよしさんやフーテンの寅さんといった具合である。
今年は水前寺清子さんの365歩のマーチはおじいちゃんおばあちゃんが多いに楽しんでおられた。
なんと言っても『ふるさと』『もみじ』を共に歌う場面は感動的である。
おじいちゃんおばあちゃんの年代からしてみると生徒達の年代は孫、ひ孫世代である。
その子達が近くに寄りそい、手を握り一緒に歌う。
何故か涙が溢れ声にならない歌が流れる。おじいちゃんおばあちゃんが子供たちに“泣いちゃダメ、泣かないで。”と勇気づけてくれたりもする。勿論おじいちゃんおばあちゃんの涙や時にはよだれや鼻水までも子供たちが持参したティッシュが大急ぎとなる。
学校で事前に様々なシミュレーションをさせて意識付けをするが実際に目の当たりにするととっさには勇気がいる行動である。
現代社会は核家族がほとんどで、おじいちゃんおばあちゃんと同居できている幸せな環境が減ってきている。
私は『目の前におられるおじいちゃんおばあちゃんを自分のおじいちゃんおばあちゃんだと思って、失礼ながら来年ここで会えないかも知れない』ということも含めて誠心誠意関わろうと生徒には伝えることにしている。
最後には手話をつかい『明日という日がくるかぎり、幸せを信じて』と、メッセージを歌と共にうたいあげ幕を閉じる。
多感な高校生の心に残り、大切なものを育んでくれるそんな時間となったと思えます。
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